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「動物会議」に思う

執筆者の写真: 沼尾ひろ子沼尾ひろ子

私は、この本の表紙を見た時、思わず胸に抱きしめた。ああ、なんてかわいらしいの!動物たちが会議をしてる!それを、こどもたちが見守ってる。トリヤーの絵は、愉快で内面まで表していて、ケストナーのお話になくてはならない。ケストナー作品は、トリヤーと一緒にあると言ってもいいのではないかしら。

私が、興奮さめやらぬうちに、ページをめくり、文字を目で追っていくと、すぐに、顔が真剣に、口元は引き締められた。

「ぼくのたてがみが金色でなかったら、腹がたって、たちどころにまっかになるところだ」

ライオンのアロイスは、何度もそう声を荒げます。

そう、こんなユーモラスなtitle、愉快な挿絵で綴られたこの物語は、度肝を抜くほど過激で

辛辣で、「テレビの生放送では読めないわ」、私は笑いながらふとつぶやいた。

この作品が書かれたのは、1949年。第二次世界大戦が終わってまもない西ドイツミュンヘンでした。ケストナーは、ナチスドイツの戦渦から亡命しようとせず、文筆活動を続けました。動物たちの、たった一度の会議の議題は、「子どもたちのために」。

きっと、この本を手に取ったおとなたちの中には、パタンと本を閉じ、子どもの目の触れないようなところにしまってしまうひともいるかもしれません。

私は・・・、ケストナーとトリヤーの生きた時代にこの作品が生まれていることに、胸がぎゅっとなるのです。


そして、目を閉じる。

すごいなあ。動物たちが、世界中からありとあらゆる交通手段で会議場に集まるんですよ。

想像しただけで、わくわくしない?




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