子ども頃、学校が終わると夢中になって遊んだ。
気がつくともう夕闇で、
日が沈みかけると、あたりが薄暗くなり
その薄暗さは、あっという間に、絵の具の黒になった。
あわてて、かけだす。
大声で歌いながら、家まで全速力で走った。
途中で、さけぶ。
「ママ〜!」
「いるよ〜!」
母の声を確認する。
母の姿は、真っ暗闇で見えない。
道ばたに立っている母のシルエットと声の焦点がだんだん合ってくる。
「ただいま〜!」
「おかえり」
息を切らして、迎えに出ている母を追い越すと家の中に飛び込んだ。
私は、いなかが大好きなのに、こわがりで、暗いところが大の苦手だった。
だって、暗がりには、ひとつめのキツネや、白いきもののひとや、
なんだかわからないものがいたのだ。
そんなのが突然現れたら、心臓が飛び出ちゃう!
大人になった今でも、こわがりは変わらない。
マルコがおかあさんをさがしに、
ひとりで、夜は星空を見ながら野宿し
アンデスの荒野を旅をするところを朗読すると、
あの時、まっくらな道ばたに立って
こわがりの私を待っていてくれた母を思い出す。
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